この記事は、広告やWeb集客を代理店に任せている会社と、これから任せるか迷っている会社の方に向けて書いています。
代理店に任せてもうまくいかないのは、社内で判断する人がいないからです
代理店に任せている会社でよく見かけるのは、提案がほとんどそのまま通っている状態です。こちらから情報を渡したり、提案に問いを返したりせず、「専門家が言うのだから正しいはず」と進めてしまう。
もう一つは、目的や仮説が見えないまま施策だけが出てくる状態です。たとえば「媒体を広げましょう」という提案は、いまの媒体をやり切ったのか、いまの媒体では成果が出ない理由があるのかを確かめないまま出てくることがあります。うまくいかないから幅を広げると、一時的には数字が戻っても、しばらくすると同じ壁にまた当たります。
どちらも、代理店の腕だけの問題ではありません。広告の数字を事業の成果と結びつけて、「何をやるか、やめるか」を判断する人が社内にいない。そのために、代理店の提案を受け止めるだけになっています。以下は、代理店と組んで成果を出すために、社内の側でやっておく手順です。
手順1 代理店に何を求めるのかを、言葉にしておく
「広告の専門家だから」という理由だけで代理店に頼むと、期待が曖昧なまま始まります。欲しいのは成果なのか、社内にノウハウを残すことなのか。運用をすべて任せたいのか、判断は自社でしたいのか。求める役割を言葉にして、代理店と共通の認識にしておきます。役割が言葉になっていれば、それが果たされているかどうかで、続けるかどうかも判断できます。これから代理店を選ぶ会社なら、選ぶ前に決めておきたいことです。
手順2 事業のKPIを、代理店と同じ数字で握る
ここが一番大事な手順です。私が関わったBtoBの事業での例を書きます。
広告を代理店に任せていて、最初はうまくいっていました。ところが、だんだん成果がかみ合わなくなり、ある月、商談数が大きく落ち込みました。媒体の管理画面で見るCPA(1件の獲得にかかった費用)は、むしろ良くなっていました。媒体の数字だけ見れば、順調です。理由は、ホワイトペーパーのダウンロードで、商談につながりにくいリードを多く取れていたからでした。
事業として欲しい成果と、広告で取りに行っている成果が結びついていなかった。問題はそこにありました。それ以降は、商談数を代理店と一緒に追うKPIとして握り、事業の成果をもとに運用を提案してもらうようにしました。その後は、広告費を伸ばしながら、獲得数も伸ばせています。
同じ数字を握るには、その数字が測れている必要があります。広告からの問い合わせが、その後の商談・受注まで追えるか。追えないなら、施策より先に計測を整えます。
手順3 報告と提案は「現状→原因→仮説→次の一手」がそろっているかで読む
代理店の報告や提案は、次の4つがつながっていれば大きな心配はありません。
- 現状:何が起きているか
- 原因:なぜそうなったか
- 仮説:どうすれば変わると考えているか
- 次の一手:何をするか
気をつけたいのは、現状からいきなり次の一手、つまり施策の話に飛んでいる報告です。聞き返しましょう。原因や仮説が書かれていても、なぜそう考えたのか、その因果が見えなければ、さらに掘り下げてもらいます。
もう一つ、聞き慣れない横文字やアルファベット3文字の言葉が並んでいないかも見ておきます。社内に知識があるなら問題ありませんが、そうでなければ、分からないまま話が進む原因になります。分からない言葉は、その場で意味を聞いてかまいません。
手順4 向かい合わず、同じ方向を向く
代理店とは、発注する側と受ける側として向かい合う関係より、同じ目的に向かって並ぶ関係のほうが成果が出ます。事業会社が事業のKPIを追うのと同じように、代理店にもその数字を追ってもらう。そのために、事業の状況や商談の結果といった、代理店からは見えない情報を渡す仕組みをつくります。
代理店が成果を出してくれないと感じたら、一度こちら側を見直してみてください。渡すべき情報を渡していない、目的を伝えきれていない。どちらも、よくあることです。
かといって、代理店を甘やかす必要はありません。厳しくも甘くもなく、目的に向かって一緒に進め、目的に届きそうになければ率直に指摘する。この距離感が、長く成果を出してもらううえでちょうどよいと考えています。
社外のアドバイザーが代理店費用の一部で代わりになるのは、この間をつなげるからです
ここまでの手順は、社内に判断できる人がいれば自社で回せます。いない場合に、その役割を外から担うのがアドバイザリーです。
アドバイザーがするのは、事業会社と代理店のあいだの翻訳です。事業の目的やKPIを代理店に伝わる言葉にし、代理店の報告を事業の判断に使える形にする。報告に原因や仮説が抜けていれば、そこを聞き返して直してもらう。代理店の力を引き出すことにも、手が抜かれている部分を正すことにもつながります。
もう一つ、サイトの情報設計やタグの管理のような技術寄りの部分は、代理店も意外と把握していないことがあります。社内の担当者に代わって、そうした部分を代理店とやり取りするのもアドバイザーの役割です。
すでに代理店に任せている会社なら、手順3の読み方で直近の報告を見直すところから。これから任せる会社なら、手順1と2を決めるところから始められます。社内で運用している会社向けには、社内で広告を回している会社が、成果を伸ばせない3つの理由にまとめています。